土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
73 巻 , 1 号
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和文論文
  • 大澤 実, 赤松 隆
    2017 年 73 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/20
    ジャーナル フリー
     新経済地理学に代表される集積経済理論の枠組みが,都市・地域政策の長期的経済評価のための空間応用一般均衡分析へと応用されつつある.本研究では,近年の一部の計量分析が共通して抱える,モデル構造選択上の課題を指摘する.具体的には,(i) パラメタ設定のいかんによらず,現実の経済活動の空間的集積パターンが持つ多極性を内生的に表現しえない数理的構造を持ったモデルが選択されており,また (ii) 複数均衡の存在可能性も考慮されていない,という課題を指摘する.そのために,代表的研究例としてAllen and Arkolakis1)のモデルを取り上げ,その集積・分散挙動を解析的・数値的に分析することで,このモデルがその数理的構造上,一極集中的パターンのみしか表現しえないことを明らかにする.その上で,計量分析への含意を議論する.
  • 浦田 淳司, 羽藤 英二
    2017 年 73 巻 1 号 p. 24-39
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     稀少である災害下においてはリスクを共有する周辺他者の行動に同調した行動がとられやすく,また地区内の他者との関わりを想定した減災施策も近年注目されている.そこで,本研究では,避難開始選択における他者の行動選択の影響を評価することを目的として,個人の意思決定モデルを構築した.提案モデルは災害時に現れる不平等回避選好や時空間上の制約を反映することで,二者の関係性と地区内の人的ネットワークの影響を同時に評価することが可能である.行動仮説の実証のため,提案モデルに適用可能な疑似最尤法を導入した上で,実際の豪雨災害時の避難行動データを用いたモデル分析を行った.実証分析により,避難開始選択における他者の影響考慮の妥当性を示し,また,その空間的な偏在が生じていることを明らかにした.
  • 恩田 幹久, 高山 雄貴, 池田 清宏
    2017 年 73 巻 1 号 p. 40-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     新経済地理学(NEG)分野では,都市の人口集積特性が,2都市や円周都市経済という空間設定を中心として研究されている.円周都市経済では,人口が集積した都市間の「空間周期の倍化現象」により人口集積が進行することが明らかになっている.円周都市経済の研究は,このような理想的な集積挙動が発生することから,2のべき乗の都市数を中心に行われており,都市数が奇数になる場合の集積特性は殆ど知られていない.本研究では,奇数を含む一般の都市数に対する,NEGモデルの分岐理論を提案し,Forslid & OttavianoとPflügerのNEGモデルを用い,交通費用の低下に伴う,人口集積挙動を分岐理論と数値解析により調べた.一様分布状態から発生する分岐の種類がモデルの設定と都市数に依存し,その結果,集積挙動が変化することを明らかにした.
  • 和田 健太郎, 佐津川 功季
    2017 年 73 巻 1 号 p. 56-72
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     本稿は,1起点多終点ネットワークを対象に,動的配分理論に基づくMacroscopic Fundamental Diagram(ネットワークの車両存在台数とトリップ完了流率の関数関係)の解析法を構築する.具体的には,まず,渋滞パターンを与件とした動的利用者均衡モデルに対する逆問題を定式化する.逆問題は線形方程式系で記述されており,ネットワークのマクロな性能を表すトリップ完了流率と,よりミクロな状態である渋滞パターンとを解析的に関係づけることができる.この解析式の感度分析を行うことで,待ち行列の延伸によるトリップ完了流率の低下が生じる渋滞パターンとそのメカニズムを明らかにする.
  • 足立 茂章, 高見 淳史, 原田 昇, 是澤 正人
    2017 年 73 巻 1 号 p. 73-84
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     近年,首都圏の鉄道路線においてホームドアの導入が進んでおり,設置路線においては軌道内転落事故や列車接触事故が減少している.一方,ホームドア導入時の列車運行計画では,従来の停車時間にホームドアの稼働時間を付加するため,各駅の停車時間は増加し所要時間も増加することになる.朝ラッシュ時間帯に着目すると,ホームドア導入により,車側付近の旅客接近や混雑が解消され,停車時間の安定化が確認された.また,車側の安全確認が人的作業から支障物センサーに代わり,ワンマン運転化すると,停車中の安全確認時間に変化が確認された.
     本稿では,ホームドア導入による運転形態及び駅の特徴を分類することで,その特徴にあった停車時間変化と安定性効果を分析すると共に,ホームドア導入時の列車運行のあり方を考察する.
  • 和田 健太郎, 臼井 健人, 大口 敬, 井料(浅野) 美帆
    2017 年 73 巻 1 号 p. 85-96
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,需要のランダム到着を考慮して,系統信号路線の総遅れ時間の期待値を評価する手法を提案する.この手法は交通流の変分原理(VT)に基づく.需要のランダム到着を考慮したVTでは,交通流ダイナミクスは時空間領域のネットワークにおける確率的な最短経路問題の解として記述されるが,その厳密な求解は困難である.そこで,以下の二つを組み合わせた近似解法を提案する:(i) 最短経路の持つ特性による解(経路)集合の縮小;(ii) Clark近似による多重積分の解析的な評価.モンテカルロ計算との比較を通して,提案手法が精度よく遅れ時間の期待値を計算できることを示す.また,提案手法の有用性を示す応用例として,駒沢通りにおける信号最適化のケース・スタディを示す.
  • 尾花 恭介, 藤井 聡, 広瀬 幸雄
    2017 年 73 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     本論文では,公共事業の社会的受容に影響を及ぼす要因を包括的に理解するためのフレームワークを提示することを試みた.NIMBYとして取り上げられる代表的な事業である原子力発電事業や廃棄物処理事業を対象に,コミュニケーション研究の知見を援用した上で,トップダウン的なアプローチにより受容に影響を及ぼす要因を整理した.その成果として,受容に影響を及ぼす要因を,受容を働きかける側に関する要因,受容する側に関する要因,受容の対象に関する要因,決定に至る過程に関する要因,及びその他の状況的要因の5つの要因に整理し,それをフレームワークとして提示した.これまでの先行研究との整合性を確認した上で,研究と実務の両側面から提示したフレームワークの活用について考察した.
和文報告
和文ノート
  • 佐津川 功季, 和田 健太郎
    2017 年 73 巻 1 号 p. 103-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/20
    ジャーナル フリー
     本稿は井料1)により提案された,動的交通量配分問題のNash均衡解の解法「順序配分アルゴリズム」について,いくつかの修正・補足を行う.具体的には,単一終点ネットワークに対して順序配分アルゴリズムが均衡解を導出することを保証する定理(定理 3b, 井料1))に不備があることを反例とともに示す.この反例は,ネットワーク上に待ち行列が存在する場合,その最後尾に到着できる任意の車両が同一時刻に終点に到着できることを指摘するものであり,原著論文で示された終点到着時刻に基づく車両の配分順序付けが多くの場合不可能であることを意味する.その上で,単一終点ネットワークに対する適切な配分順序付けが存在することを新たに証明し,この構造のネットワークでは順序配分アルゴリズムが必ず均衡解を導出することを保証する.
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