2017 年 73 巻 5 号 p. I_1211-I_1218
近年,道路交通インフラの戦略的な維持管理,更新等により,トータルコストの縮減や予算の平準化を実現するための効果的方策が求められている.そのような中で押ボタン式信号機の点検・見直しにあたり,横断者の交通実態を踏まえた適切な設置可否,現示運用の検討が必要である.そのため本稿では,横断者の押ボタン利用特性について観測調査に基づく実態把握を行い,得られた結果に基づいたロジスティック回帰により,横断者の押ボタン利用判断に影響を与える要因を考察した.その結果,押ボタン信号機の設置を検討する際には,車両交通量だけではなく,道路構造等も考慮する必要があることを示した.また横断者の待ち時間と車両の遅れ時間の観点から,交通シミュレーションにより交通制御方式の違いを比較し,信号機設置の優位性について検討した.