抄録
首都圏空港は更なる機能強化が必要とされている.海外では従来の運用に工夫を加えた先進的な管制運用方式が多数実施されており,実際に効果が認められた施策も存在する.本研究の長期的な目標は,このような先進的管制運用方式を羽田空港などの大規模空港に導入した場合の効果を運用効率と社会的制約の双方から分析することである.本稿ではこの長期的目標を達成するため,管制指示情報を用いて羽田空港到着機の合流作業が行われるT14セクターにおける管制指示の実態や特性を定量的に分析した.さらに分析した管制指示の特性を反映させた空域シミュレータの開発を進め,先進的管制運用方式としてPoint Mergeと呼ばれる方式を再現し,到着機の処理機数の観点から簡易的な分析を行い,Point Mergeの到着機処理に関する効果を確認した.