2017 年 73 巻 5 号 p. I_379-I_388
コンパクトシティ政策の推進には自治体担当者の意識改善が重要である.既にワンショット型レクチャー(OL)の有効性が検証されているが,本研究ではOLの効果をより詳細に把握するため,自治体の都市計画担当者にコンパクトシティ政策に関する意識調査を行い,受容性と担当者の個人属性・政策の実現に向けた障害との関係性を分析した.その結果,1)受容性の低い担当者は予算や専門的知識等を障害と考えており,コンパクトシティ政策に関する基礎的な情報提供で大きな改善が見られたこと,2)元々受容性が高い担当者は改善の変化が小さく,市民の無理解や部署間の調整等の現場の課題を障害と考えていたこと,3)OLを実施しても受容性が改善されない担当者は議員の反対や人手不足等の現場の具体的な課題を障害と考えていたこと等が明らかになった.