抄録
高齢者の外出頻度は,心身機能や社会活動性を包含した健康指標の一つであり,外出頻度を交通施策等の評価に活用できる.
本稿では都市部と地方部の差異を考察し,外出頻度に影響を与える要因が地区特性で異なるかを明らかにすることを目的としている.都市部に住む高齢者,福祉・障がい者施設利用者に対し,外出状況と老研式活動能力についてアンケートを行った.決定木分析手法を用いて分析した結果,高齢者の外出頻度に最も影響を与える移動手段が「バイク・自転車」であることがわかり,地方部では外出頻度に影響がみられなかった「公共交通」が,都市部で影響があることがわかった.外出頻度に影響を与える要因が地区特性で異なることから,地区特性に応じた交通施策等を行うことで,外出頻度が増え,健康的な生活の向上に寄与することが期待される.