抄録
日本では高度成長期における鉄鋼業を始めとして,各時期にある特定の産業が原動力となり地域経済の発展をささえてきた.その結果,各地域の産業構造や成長産業の集積状態の差異を反映して,地方自治体の財政力の間に格差が発生してきた.本研究では,財政力の地域間格差の変化を,財政力の高い地域と低い地域に二分化する二極化現象として把握する.具体的には,財政力の空間格差の二極化傾向を,極化指標を用いて評価する.さらに,特定の産業として自動車産業に着目し,これらの産業の空間的集積状況が,財政力の二極化傾向に及ぼす影響を分析する.さらに,日本経済のサービス化,知識経済化の原動力であるサービス業に着目し,サービス業の地域集積が財政力の二極化傾向に及ぼす影響も分析する.