抄録
本研究では,2016年熊本地震によって被災した熊本県民への質問紙調査を通じて,震災後の住民の避難行動の特徴を明らかにする.具体的には,性別や年齢,同居世帯などの個人・世帯属性,震災前に実施していた個人・家庭の備え,避難先の選択理由,避難をやめたきっかけなどと避難行動との関係を,避難実施の有無,避難先,避難期間の観点から明らかにする.結果として,水や食糧の備蓄や家具の固定をしていた住民は自宅に留まる傾向にあったことや避難場所・経路を事前に確認していた住民は,指定避難所に避難する傾向にあったことが明らかとなった.また,ペットやプライバシーを理由として,車中泊を行った住民が少なからず存在し,食糧や水などの取得に困難があった実態も明らかとなった.