抄録
中心市街地等において,人の行動を踏まえて公共施設の立地や道路空間再編等の施策を評価する計画手法としては回遊行動シミュレーションがあるが,フレームの構築,データの整備の負担が大きく,行政における導入が進まない状況にある.本研究では,近年の中心市街地の施策を総合的に評価できるフレームワークを有し,かつ行政実務上取得可能なデータを用いた回遊行動モデルの定式化を行い,さらにパーソントリップ調査と組み合わせることで,実際に施策評価を可能とする実務的な回遊行動シミュレーションの構築を行った.ケーススタディとして岡山市で取得されたプローブパーソン調査のデータを用いて試算をした結果,リンク交通量の現況再現性と商業機能誘導の施策評価の感度が確認でき,シミュレーションの実用可能性を示すことができた.