2019 年 75 巻 5 号 p. I_1081-I_1087
舗装は道路交通の快適性と安全性を支える基盤であり,その機能の保持が維持管理の目的である.しかし,現在の舗装補修基準は各路面性状値における舗装の機能を適切に評価しているとは言い難い.そこで本研究では舗装の交通安全機能に着目し,同機能を考慮した路面性状評価の第一歩として,路面性状が交通安全性能に与える影響を定量的に把握する.具体的には,交通安全性能を単位距離走行あたりに事故を起こす確率(事故リスク)と定義した上で,路面性状の評価指標:わだち掘れ量,国際ラフネス指標(IRI),ひび割れ率を説明変数に用いた事故リスク推定モデルを構築し,同指標が事故リスクに与える影響を定量的に把握する.分析の結果,わだち掘れ量の増加は事故リスクを高める傾向にあるが,IRIについては逆の傾向が確認された.