2019 年 75 巻 5 号 p. I_315-I_325
昨今,耳にするインフラツーリズムは,土木施設を観光スポットとして巡るツアーであり,地域経済の活性化に寄与するものと期待されている.土木施設の観光資源としての活用は,施設を所管する土木行政において,公共事業に対する国民の理解を深める機会であり,更に既存ストックの有効活用の観点からも大きな可能性を秘めている.本研究は,主に地方公共団体の土木行政の視点から,観光資源としての土木施設の活用に向けた課題を整理し,方策を提案することを目的とする.本研究では,事例と土木行政の現状から,土木施設を観光資源として活用する上での土木行政の課題を「組織」と「仕組み」の2 点から考察した.そして「行政の部署を越えた連携」と「施設の目的の見直しと費用対効果分析の実施」を提案し,その効果と導入にあたっての課題を示した.