抄録
本研究では,高齢者の外出行動における慣れや諦めに関する分析を行った.各種外出行動が希望未満の頻度であるにも関わらず,不満に感じていない高齢者の存在が明らかとなった.これは,不便な現状に慣れてしまうことや,自身の健康状態などから外出を諦めてしまうことが要因と考えられる.外出手段として家族の送迎を利用している人が,希望未満の頻度であるのに不満を感じない傾向にあった.高齢者の生活における慣れや諦めについて「活動能力に関する諦め」「活動欲求に関する慣れ」「生活の質に関する諦め」の因子で構成されていることが明らかとなった.「活動能力に関する諦め」が「活動欲求に関する慣れ」や「生活の質に関する諦め」に繋がり,そこからさらに「外出における重要度認識の低さ」に繋がる構造を示した.