抄録
近年の冬期歩行者転倒事故の増加により,冬期歩行空間の転倒危険度を把握することの重要性は増しつつある.一方で,冬期歩行空間の転倒危険度を定量的,リアルタイムかつ広域にわたり簡便に評価する手法は確立されていない.本研究では上記課題を解決するために,スマートフォン搭載加速度センサにより歩行挙動を計測し転倒の危険性を定量的に示す指標(歩行安定度)を求める手法を開発した.また,様々な路面状態下で被験者実験を行い,歩行安定度と路面状態およびスリップ発生状況の関係について検証した.
検証の結果,歩行安定度は路面状態の悪化およびスリップ発生回数の増加に伴い低下し,この傾向は被験者の年齢や性別などの属性によらず現れたことから本手法による冬期歩行空間の転倒危険度を定量的に評価できる可能性があることが示された.