2024 年 48 巻 2 号 p. 391-410
本研究の目的は,大学のキャリア教育へのキャリア構成理論の応用による,学生の自己構成プロセスを探索的に検討することである.対象の授業にキャリア構成インタビューを実装し,学生19名の授業8回の記述データをM-GTAを援用し分析した結果,5カテゴリー・21概念が生成された.学生は,授業のながれに沿って次の4つのカテゴリー,【1.LCへの問題意識と関心】,【2.経験の認識と納得】,【3.自己のLCの理解】,【4.自己の構成への展望】を往来しながら{内省活動による探索}を行い,随所で{相互作用による探索}が影響する『相互学習による自己構成』プロセスが示された.すなわち,本授業が企図したキャリア構成のながれ「構成・脱構成・再構成・共構成」の「構成・脱構成」へと推移したことが確認された.「構成・脱構成」はキャリア構成の途上であり,低年次の学生のキャリア構成を支援するためには,教育 (正課) と支援 (正課外) の連動が重要であることが示された.