2020 年 75 巻 6 号 p. I_231-I_238
近年,再生可能エネルギーの普及が加速しており,分散型電源を有効活用するためスマートグリッドの導入に向けた検討がなされている.しかし,スマートグリッドの重要な要素である太陽光発電や電気自動車に利用される電力は直流であり,現在の電力網に利用される交流電力に変換する過程でロスが発生してしまうが,この点に着目してスマートグリッドの効果を検証した研究蓄積はない.そこで本研究では,スマートグリッドの普及を想定した住宅街区の電力需給を分析し,直流と交流の場合のスマートグリッド内で生じる電力ロスや電力自給率を算出することで,直流化効果を検証した.その結果,1)直流化によって最大 74.8%の電力ロスが削減できること,2)自動車保有台数が多く戸建住宅の占める割合が大きい住宅街区ほど直流化効果が大きいことなどが示された.