2020 年 75 巻 6 号 p. I_309-I_316
文化的景観制度の誕生により,全国各地で地域特有の生活環境を含めた景観まちづくりが進められている.そのため,景観を凍結的に保全せず,適切な変化を許容した保全方策を定める必要がある.本研究の対象地である阿蘇地域では,草地を基盤に重要文化的景観として評価を受け,その保全活用の検討が進められている.そこで本研究の目的は,阿蘇地域における重要文化的景観の保全方策検討の特徴と今後の運用における課題について明らかにすることである.そのために,保全方策の検討の流れと段階,およびその段階ごとの論点について明らかにするため,ヒアリングや文献,また学術委員会の活動や議論から整理し,分析した.その結果,阿蘇地域ならではの重要文化的景観の保全方策検討の在り方を明らかにすることができた.