2020 年 75 巻 6 号 p. I_43-I_55
高齢者が容易に社会参加が可能な外出環境を整備することは,都市施策における重要な課題であり,その際,財政的な制約にも配慮して,効率的かつ効果的な施設配置や交通施策を考える必要がある.本研究は,市区町村による立地適正化計画策定を支援するため国土交通省で進めるスマート・プランニングの新たな手法として,行動データに基づいて,高齢者の活動を支援する施策の実務的評価手法の開発を目指すものである.本研究では,GPSと紙調査票を併用した詳細な高齢者行動調査を実施することで,私事活動の頻度や活動場所等に関する基礎的な知見を得た.さらに,分析結果を踏まえ,公共施設等の施設配置や公共交通,歩行環境の整備等の交通施策を評価する実務的手法の枠組みを提案した.