2020 年 76 巻 2 号 p. 128-137
2016年熊本地震の被災地益城町で2017年7月に実施された被災者の今後の住まいに関する調査では,回収率向上のため,督促状の発送や無回答世帯への訪問など様々な取り組みがなされた.本研究ではこれらの取り組みの効果検証を意図して,回答時期による回答世帯の属性の違い,無回答世帯の実態,および無回答バイアスの有無や傾向を明らかにすることを目的とする.基礎属性分析の結果,世帯主の年齢が低い,中学生以下の子どもがいる,みなし仮設住宅で移転を考えている世帯に期間内回答が少ない傾向にあることが明らかとなった.また,災害公営住宅の需要に関して無回答バイアスの存在を確認し,シミュレーション結果から簡易な拡大推計法では需要を過大に推計することを確認した.