2020 年 76 巻 3 号 p. 203-222
本研究は,臨海部再開発に対する港湾計画制度の問題点,限界に着目し,その改善方針について考察を行った.具体的には文献調査および港湾管理者へのアンケート調査の結果をもとに過去の再開発の事例を様々な観点から分析するとともに,再開発前後の計画の整合性に関して分析し,採られてきた計画手法に対して制度的枠組からの問題点を明らかにした.結論として臨海部再開発は,開発規模80~100ha未満,事業費1,000億円未満であることが港湾計画の目標年次内に事業が完了する一つの目安として参考にできることが明らかとなった.加えて港湾計画制度の改善方針として,再開発を港湾計画に位置づける際には事業着手時期,完了時期,実施主体および計画の達成見込み等を計画事項に盛り込む仕組みづくりが重要であることを指摘した.