本研究の目的は,企業と家計の相互作用によって複数都心の創発を説明するFujita and Ogawa (FO)モデルに対し,大規模な2次元空間にも適用可能な効率的解法を開発することである.まず,FOモデルが二次計画問題に帰着することを示し,これがBenders原理によって,(i) 企業立地パターンを求める“マスター問題”と (ii) 家計の立地・通勤パターンを求める“サブ問題”とに分解できることを明らかにする.次に,(本来ならば立地点数の二乗のオーダーの未知変数をもつ)サブ問題に対し,そのHitchcock型輸送問題との等価性を利用して,実質的な未知変数の次元が立地点数オーダーで済む効率的解法を開発する.最後に,数値計算により,提案手法が,立地点数が20,000を超えるような大規模な問題に対しても実用的な時間内に求解できることを明らかにする.
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