2020 年 76 巻 4 号 p. 299-313
本研究では,異なる地域で生産される地域メニュウに集合的異質性が存在し,かつ,地域メニュウに対する多様性選好を家計が有する状況を想定したうえで,2地域から構成される都市システムの構造を分析する.そのために,KrugmanのCore-Peripheryモデルに,地域メニュウに対する家計の多様性選好を導入した空間均衡モデルを定式化したうえで,地域間交通費の削減が人口の地域間分布に与える影響を分析する.分析を通じて,地域メニュウに対する家計の多様性選好が十分に強い場合,地域間交通費の削減は,複数の地域に人口が分散した国土構造の形成を促す可能性があることを示す.また,地域メニュウに対する家計の多様性選好の強化により,人口の分散化が促進されることを示す.