土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
ISSN-L : 2185-6540
76 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
和文論文
  • 相澤 大輝, 池田 清宏, 木暮 洋介, 大澤 実, José Maria GASPAR
    2020 年76 巻4 号 p. 282-298
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     都市への人口集積現象のメカニズムは新経済地理学モデルの理論分析を通じて研究されており,分岐を通じて集積パターンが形成されることが解明されている.しかし,多くの研究は2立地点空間や競技場経済のような対称性の高い空間を仮定しており,現実空間がもつ地理的優位性を捨象している.本研究では,境界がある線分上に等間隔に都市が分布する線分都市経済に着目し,単一の巨大都市型の集積が,衛星都市を含む都市群の集積に変化するメカニズムを,分岐解析により明らかにする.また,解析例としてForslid & Ottaviano1)のモデルをとりあげる.その結果,工業財への支出割合が大きいほど,あるいは,財の代替弾力性が小さくなるほど,衛星都市が中心都市から離れた箇所で発現することが明らかになった.

  • 瀬木 俊輔, 小林 潔司, 松島 格也
    2020 年76 巻4 号 p. 299-313
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,異なる地域で生産される地域メニュウに集合的異質性が存在し,かつ,地域メニュウに対する多様性選好を家計が有する状況を想定したうえで,2地域から構成される都市システムの構造を分析する.そのために,KrugmanのCore-Peripheryモデルに,地域メニュウに対する家計の多様性選好を導入した空間均衡モデルを定式化したうえで,地域間交通費の削減が人口の地域間分布に与える影響を分析する.分析を通じて,地域メニュウに対する家計の多様性選好が十分に強い場合,地域間交通費の削減は,複数の地域に人口が分散した国土構造の形成を促す可能性があることを示す.また,地域メニュウに対する家計の多様性選好の強化により,人口の分散化が促進されることを示す.

  • 塩崎 由人, 高山 雄貴
    2020 年76 巻4 号 p. 314-333
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/20
    ジャーナル フリー

     本研究では自然災害等の外力によって生じる人口変動を受け容れ,都市システムが外力を受ける前の状態を回復する能力を受容力と定義する.その上で,新経済地理学に基づく2都市モデルに外部地域を組み込んだ枠組みにより,都市システムの受容力に関する次の性質を明らかにする:1)2都市間の交易の自由度が高いほど両都市の受容力が増大する,2)一方の都市の都市内交通の利便性向上はその都市のみならず,もう一方の都市の受容力をも増大させる,3)一方の都市の生産性向上はその都市の受容力を高めるが,もう一方の都市の受容力を低下させる.

  • 藤田 素弘, 河畑 草太
    2020 年76 巻4 号 p. 334-346
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,模擬道路での走行実験と実交差点における観測調査を下に,カウント表示の有無による車両の発進特性比較を行った.分析では,青切り替わり1秒以内の各信号デザインの微視的な車両挙動比較に基づき,1秒以内のフライング特性や1m範囲での加速特性などを比較分析した.また,目盛り表示を含むカウント表示デザインを全9種類試行し,安全かつ素早い発進ができるデザインの考察も行った.限定された条件下ではあるものの,分析の結果,初動フライング割合が青切り替わり0秒から-1秒の間に交差点調査(カウントなし)と走行実験(カウントあり)で逆転すること,カウント表示することで発進のタイミングがつかみやすくなり,非初動フライング時には素早く発進するが,初動フライング時にはゆっくり発進する傾向があることなどがわかった.

  • 鎌田 秀一, 大門 創, 剣持 健, 苦瀬 博仁, 森本 章倫
    2020 年76 巻4 号 p. 347-363
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,東京都市圏における広域物流拠点の最適な配置に向けた政策としての審議会答申等や配置計画,事業手法,規制・誘導手法の特徴と,広域物流拠点の立地の動向を比較・分析し,広域物流拠点に関する政策の必要性と臨海部における今後の広域物流拠点の政策の方向性を明らかにすることを目的とする.その結果として,高度成長期,安定成長期,平成期を通じた政策により,広域物流拠点の配置計画に概ね沿った形で広域物流拠点の立地が進んでいることから政策の必要性を明らかとした.また,臨海部における今後の広域物流拠点の政策の方向性については,臨海部の老朽物流施設の更新のための大都市圏計画と都市計画の連携,流市法に代わる事業手法の適用,物効法に代わる規制・誘導手法の適用が必要であることを明らかにした.

  • 安藤 宏恵, 倉内 文孝
    2020 年76 巻4 号 p. 364-376
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/20
    ジャーナル フリー

     少子高齢化に伴う人口減少により過疎化が進行する地域では,生活を支える交通システムにおいて道路が担う役割は大きく,道路ネットワークの効果的かつ効率的な整備が求められる.そのため本研究では,道路ネットワークの機能的かつ空間的な特性を把握し,整備方針に対して場所や役割に応じた有益な示唆を与えることを目的とし,簡便に道路ネットワークの特徴を捉え分析可能な評価手法を提案する.具体的には,Network Topology指標の一つである固有ベクトル中心性指標を活用し,いくつかの交通指標によって重み付けされた中心性指標を分析することにより道路ネットワークの特性を明らかにする.さらに,道路の特性上の重要因子を抽出し,それらに対する影響度による階層的クラスタ分析の結果から,効果的な道路整備方針について考察する.

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