2021 年 76 巻 5 号 p. I_1061-I_1071
特急列車には,長距離利用のほか県内など比較的近距離の利用需要も存在するが,それら県内需要を推計するための手法やデータの蓄積は十分になされていない.そこで本研究では,地方における特急列車の県内利用の需要を推計する手法の確立を目指して,その県内利用を対象とした駅勢圏を定量的に推定するモデルを構築した.モデル構築には戸別訪問形式のアンケート調査により収集された交通行動データや交通機関サービスレベル,地理空間情報などを活用し,モデル構造として混合ロジットモデルを採用した.パラメータ推定の結果,十分な説明力を有するモデルが構築された.同時に,通常のロジットモデルと比較して混合ロジットモデルが優位であることを示した.また仮想的な地方都市空間における駅勢圏の推定例を示した.