2021 年 76 巻 5 号 p. I_1047-I_1059
JR北海道は2016年に「単独では維持することが困難な線区」を公表した.公表された線区の多くは行政の支援による維持を目指している.道内の地方自治体の財政状況は厳しく国からの支援を求めているが,地方自治体も路線の支援をしなければならない状況である.現在,沿線自治体による費用負担を基本として議論されているが,鉄道路線の恩恵を受けるのは必ずしも沿線自治体だけでない.対象路線には,札幌市を発着する特急列車が運行されている路線があり,札幌市が受ける経済効果も小さくない.本研究では,鉄道路線による効果・影響を地域ごとに算出した.沿線自治体だけでなく,鉄道路線による恩恵を受けている自治体も費用を負担するべきという考え方に基づき費用負担割合を決定すると,札幌市も鉄道路線維持のために費用負担をするべきと示された.