2021 年 76 巻 5 号 p. I_1245-I_1252
自動車の「走る,曲がる,止まる」という機能に加えて,自動車の新たな機能の一つとして「繋がる」に注目が集まり,前方の車両をセンシングした運転支援システムの研究が著しい発展を見せている.一方で,これらの研究は高齢ドライバを対象にしたものが少なく,非高齢ドライバと同じように有用性があるという知見が十分得られていない.本研究では,ドライビングシミュレータを用い,非高齢ドライバと高齢ドライバに発進時において加減速情報を提供することの有効性を検証した.その結果,高齢ドライバに加減速情報を提供することで,1)非高齢ドライバよりも高齢ドライバのほうがデータのばらつきが大きい,2)非高齢ドライバ,高齢ドライバ共に発進遅れ時間が減少する,3)高齢ドライバは非高齢ドライバと比べて,情報に対する視認回数が多い傾向にある.