2021 年 76 巻 5 号 p. I_1235-I_1243
我が国の道路ネットワークは概成しつつあるが,本来発揮すべきサービスを十分提供できていない道路も多い.これらの解決には,道路ネットワークの機能的階層化によって各道路が発揮すべきサービス目標を明確にし,実道路の性能との乖離を明らかにすることが必要であると考えらえる.そこで本研究では,実道路の性能照査を行うことを目指し,任意の道路ネットワークの性能目標設定手法を提案することを目的とする.仮想の起点・終点間に,それぞれラインホール,および一般道路を用いる2つの経路を仮定し,ラインホールを用いる経路が最短時間または最小コストとなる道路ネットワークの必要条件を求めた.この必要条件を性能目標として,実道路を対象としたケーススタディにより性能目標を明らかにし,これらと実道路の性能の実態との乖離を明示した.