2021 年 76 巻 5 号 p. I_1453-I_1463
わが国の幹線道路では,信号交差点等の影響により旅行速度が依然として低く,本来求められる交通機能が十分に発揮されていない.この問題を解決するため,道路構造や交通運用の差別化を図りトリップの利用特性に応じた道路の役割分担を促す,道路の機能階層化が重要である.本研究では,3階層の道路ネ ットワークにおける道路・交通運用条件が,各階層の利用特性に与える影響を把握する.そして,道路ネ ットワークの機能階層的な利用を表現する指標を設定し,これを用いて道路ネットワークが機能階層的に利用されるための必要条件を検討した.その結果,IC間隔が短いほど階層間の自由速度の差別化が必要となる等,国内で課題となっている中位階層の幹線道路が明示的に利用されるための道路・交通運用条件の範囲を示すことが可能となった.