2021 年 76 巻 5 号 p. I_185-I_192
地方では生活を支えているサービスの廃止や縮小に伴い,住民自らが地域の暮らしを維持するための新たな共助活動を行う必要性が高まっている.地域には寄合や清掃活動といった集落活動が存在していることが一般であり,これらは新たな共助活動への潜在的な協力意向を育む場と考えられる.しかし,様々な集落活動があるなかで,どの活動が共助活動への協力意向を育んでいるのかは不明である.そこで本研究では,集落における活動を基礎的な活動と副次的な活動に階層化したうえで,どの階層の活動への参加が新たな共助活動への協力意向に寄与しているのかを定量的に分析した.その結果,寄合や清掃活動といった基礎的な集落活動が,地域の生活支援に関する共助活動へ寄与する可能性が明らかになった.