2021 年 76 巻 5 号 p. I_259-I_266
突発的に発生する地震災害は規模が広域化するほど被災者が持つニーズを収集することが難しくなり,同時にきめ細やかな被災者支援の実現も困難を極める.また,地震災害が甚大化するほど,携帯電話,防災アプリ等の使用が困難になることが知られている.特に災害時要配慮者については,発災後,迅速に位置,ニーズの把握を行い,迅速かつ細やかな支援が実行可能な仕組みの構築が求められている.本研究は,SAR衛星が観測可能かつ後方散乱係数が異なる複数のリフレクタを開発し,大規模地震災害が発生した直後に被災者に設置していただき,その存在位置・ニーズを把握する仕組みの提案を行った.分析の結果,本研究では底面が直径50cm,高さ25cmのリフレクタが望ましくリフレクタの種類によって後方散乱係数に差が生じることが明らかとなった.