2021 年 76 巻 5 号 p. I_369-I_376
選好を判断する際に,その判断よりも時間的に先行して選好する対象へ無意図的に視線の偏りが生じ,こうした無意図的な視線の偏りが対象の選好を上昇させることが指摘されている.そこで本研究では,店舗ファサード画像を対象に,選好判断よりも時間的に先行して選好する店舗ファサードに無意図的に視線が偏る,ならびに無意図的な視線の偏りが店舗ファサード画像の選好に影響を与えるとの仮説を措定し,同仮説を二者択一強制選好判断課題に基づき検証した.実験の結果,選好判断よりも時間的に先行して好ましいと判断した店舗ファサード画像に対して無意図的に視線が偏ること,ならびに無意図的な視線の偏りにより選好判断の確信度が高まること,すなわち仮説を支持する結果が得られた.