2021 年 76 巻 5 号 p. I_359-I_368
我が国では人口減少・少子高齢化の進行に伴って空き家問題や財政悪化,施設撤退など今までにない都市問題が進行している.これまで,こうした個々の問題に対しては様々な取り組みがなされてきたが,その全体像が横断的・俯瞰的に把握できているわけではない.本研究ではまず,各都市問題に関する代理指標を用いて,時系列横断的な都市類型化を行い同様の問題を抱える都市を類型化する.次に全国の都市の経年的な類型の変化を把握することで,人口減少・少子高齢化に伴う都市問題の進行過程を明らかにした.その結果,都市問題の進行には「街の老い」として総称できる人や建物の老いに従った問題進行パターンが存在することが明らかとなり,わが国のほとんどの都市がその進行パターン上にあることが示された.