2021 年 76 巻 5 号 p. I_621-I_630
わが国では政府開発援助(ODA)等を通じたインフラ整備技術の一層の海外展開が期待されている.一方で,海外展開の推進は建設企業にとって厳しい場合もあることも指摘されており,政府にも建設企業のニーズや見通しに合った的確な支援が求められる.本研究では,わが国の建設企業の海外進出状況を整理した上で,インタビュー調査およびアンケート調査を通じてインフラ建設事業の海外展開に対する建設企業の意識と政府機関等の見解を把握し,今後の政府支援のあり方を検討する.結果として,苦労して海外展開している企業も見られ,企業が負担の少ない形で海外進出できる環境づくりには,各企業が持つ強みを組み合わせて海外事業を受注できる仕組みを確立することが有効である可能性などが示唆された.