2021 年 76 巻 5 号 p. I_631-I_638
近年,環境問題抑制や都市活性化から公共交通の利用促進が叫ばれているが,利用促進のための適切な対策をとるためには乗客のトリップパターンの把握が必要である.筆者らは先行研究で,複雑な路線網が形成され,高頻度のバスサービスが提供されているような都市圏公共交通への適用を念頭に置き,乗客のトリップパターンを2段階にわけて推定する手法論を提案している.本研究では,先行研究で構築した推定モデルを実規模ネットワークに適用し,入力データの精度と推定精度の関係を明らかにすることを目的とする.実規模ネットワークにおける推定精度検証の結果,乗客のトリップパターンの推定精度に大きな影響を及ぼす入力データを明らかにし,その誤差水準と推定精度の関係性についても考察した.