2021 年 76 巻 5 号 p. I_639-I_647
人口減少に対応して,拠点に都市機能を集約したコンパクトシティの形成が目指されている.近年ではコンパクト+ネットワークの重要性が挙げられており,都市と交通の両分野の視点から拠点形成を図ることが望まれている.しかし拠点設定の基準値は存在せず,市町村によって拠点設定の基準が異なるのが現状である.そこで本研究では,群馬県を対象に施設集積に交通利便性の観点を加えた拠点階層設定方法を提案し,現状の拠点計画と比較することを通じて,今後の拠点計画策定の一助となることを目的とする.分析の結果,1)現状の拠点計画は施設集積が重視されており交通の視点が欠けていること,2)公共交通型の拠点数と同程度の自動車型の拠点が存在すること,3)都市部において自動車型の拠点が多くみられる傾向にあること,が示唆された.