2021 年 77 巻 1 号 p. 32-41
交通円滑化対策の評価などのための時間帯別交通量推計モデルを実ネットワークへ適用するに当たっては,これに入力する精度の高い時間帯別OD交通量の予測が不可欠である.このために先行研究においては,観測リンク交通量からの地域別方向別の時間変動係数逆推定モデルが開発されている.しかしこのモデルは発時刻ベースで時間帯別OD交通量を直接的に推定できないことや,部分的に過剰な時間変動がみられることなどの課題が挙げられた.よって本研究では,これらの課題に対応して時間帯別OD交通量を予測可能なモデルを構築した.適用計算の結果,日OD交通量の少ない地域ペアで部分的に生じていた時間変動パターンの過剰な変動を,重み係数の導入によって適度に抑制することができ,さらにリンク交通量の推定精度を改善できることがわかった.