2021 年 77 巻 2 号 p. 151-159
本論文は,COVID-19の感染拡大に起因する,北海道独自の緊急事態宣言,政府による一都6府県,全47都道府県を対象として発した緊急事態宣言によって,都道府県間流動がどのように変動したのかを明らかにすることを目的とする.用いたデータは,モバイル空間統計®の500mメッシュ人口の2020年1月~6月までのデータである.北海道の緊急事態宣言では,北海道の流入・流出を対象に,政府による緊急事態宣言では主に東京都を対象にその流動状況を確認した.その結果,緊急事態宣言は流動の減少に有意に関係していることを明らかにし,緊急事態宣言が解除された直後には,流動は有意に増加するが,緊急事態宣言以前と比較すると,有意に減少したままであることを示した.このように人の流動の構造の変化や,心理的な影響による制約などが結果から示された.