2022 年 77 巻 5 号 p. I_127-I_136
本研究では,需要の季節変動の大きさが,最適な都市間旅客交通モードの効率的な組み合わせに対する影響の把握を試みた.具体的には,需要の季節変動を組み込んだ最適な組み合わせを算出する問題を混合整数線形計画問題として定式化し,数値解析から影響を明らかにした.その結果,季節変動の大小によって,最適な組み合わせは異りうることとその方向性を明らかにした.さらに,ネットワーク上の補完関係・旅行者の異質性・競合による市場原理による効率化といった要因を扱わないモデルであっても,旅行者数が時間的に異なる条件では,航空と鉄道という競合する複数の交通モードが存在することが最も効率的になりうることがわかった.このことから,需要の季節変動も加味した,長距離旅客交通のネットワーク設計方策を検討する必要がある.