2022 年 77 巻 5 号 p. I_137-I_147
過去に発生した大規模な災害では,緊急支援物資が被災者のもとにタイムリーに届かなかった事例が度々報告されている.この問題に対して様々な解決策が検討,実施されてきたが,未だに課題が残る問題である.本研究では,阪神・淡路大震災,東日本大震災,熊本地震の三つに着目し,それぞれで指摘された緊急物資支援の問題と解決策がどのような変遷をたどったかレビューを行った.その結果,多くの問題が阪神・淡路大震災から指摘され続けているものだとわかった.依然として残されている問題を解決するためには,これまで災害時物流ではあまり考慮されていない平常時の商習慣における観点を取り入れ,それぞれの責任者を明確にする必要がある.