2022 年 77 巻 5 号 p. I_721-I_733
人々にとって身近な移動手段である路線バスは誰にでも使いやすいものであることが望まれる.しかし多くの場合,基本的な情報が利用者にわかりやすい形で提供されておらず,そのため乗る際の心理的抵抗が大きいと指摘されるような状況にある.そこで本研究では,バス利用に関わる案内の中でも路線図に着目し,特にバス路線図の変形(デフォルメ)の実態と,デフォルメが人々の「わかりやすさ」に及ぼす影響を明らかにすることを目的とし,評価実験を行った.そのために,まず全国の 202 件の路線図に対してクラスター分析による類型化を行い 6 パターンに分類した.そして,各パターンの路線図に対して経路探索による評価実験を行い,路線図を見る際の人の挙動と意識の面からわかりやすさに関する要因について明らかにした.