2022 年 77 巻 5 号 p. I_871-I_882
近年,電気バス(BEBs)の分野では V2G 運用などの新たな取組みが活発である一方で,再生可能エネルギー発電の増加や分散型発電の拡大のように,BEBs に深く関係するエネルギーインフラ側の変化も活発である.本研究では,コミュニティグリッドの普及を前提に公共電動モビリティを考えた際の,モビリティ×エネルギー×インフラの間に生じる制約/干渉/競合を分析する.都市近郊の BEBs を取り巻く複数のステークホルダーを仮定し,特に EV を持つ世帯が移動先で売電するといった,各ステークホルダー間で独自の電力売買が可能な状況下でのシミュレータ開発を行った.シナリオ分析の結果からバス利用者数やバス会社収益の大きな減少が示された一方で,BEBs の電力売買運用によるバス会社の収益改善の可能性も示唆された.