2022 年 78 巻 3 号 p. 122-136
都市間高速交通体系の発展は,地域経済システムや国土構造にも大きな影響をもたらすきっかけになりうる.本研究は,近年理論面および計算手法面で急速に発展している空間経済学(あるいは新経済地理学とも呼ばれる)に基づく,都市間高速交通体系整備による経済・人口構造への影響評価手法を構築した.本手法は,従来のSCGE分析と整合的な,多地域多産業部門経済システムへの適用を前提としている点に特徴がある.さらに本研究では,リニア中央新幹線整備プロジェクトを例として本手法を適用し,短期的な経済効果と長期的な人口分布変化への影響を試算するとともに,感度分析を通じて分析結果の頑健性について検討した.