2022 年 78 巻 4 号 p. 166-177
本研究では,都市内スケールの社会資本整備の長期的効果を評価可能な都市経済分析手法を開発する.そのために,集積の経済を考慮し,かつ,複数都心の内生的形成・崩壊現象を説明可能なモデルを構築した.そして,安定均衡状態を効率的に得るための分析手法と,実空間での分析を可能とするための系統的なパラメータ設定方法を提示した.さらに,本分析手法が詳細・広域な実空間に適用可能であることを示すため,金沢都市雇用圏を対象に,通勤費用改善に関する反実仮想実験を行った.その結果から,モデル特性を反映した人口分布変化を確認することができた.