2023 年 78 巻 5 号 p. I_337-I_346
日本では人口減少が進んでおり,立地適正化計画での目標人口密度を現状よりも低く設定する自治体がみられるように,特に地方部では,中心市街地での都市機能の衰退が懸念されている.そこで本研究では中核市を対象に,あらかじめ拠点の都市機能が存在できる最低限の人口と人口密度を,それぞれ最低人口と最低人口密度と定義した上で,拠点における立地確率をもとに人口の検討・算出を行った.分析の結果,施設ごとに立地しやすい拠点後背圏の人口規模や人口密度が明らかになり,各拠点に必要な機能が最低限立地できる最低人口と最低人口密度による閾値が求められた.実際の拠点の現状と比較すると,この閾値を満たしていない拠点がみられ,重点的な人口集約や,拠点設定の見直しを行うことなどが考えられる.