2023 年 78 巻 5 号 p. I_899-I_909
本稿は,都市における通勤ラッシュに関わる時間集積の経済・不経済にテレワークが与える影響を分析する.具体的には,時間集積の経済・不経済を扱う Takayama1) の通勤均衡モデルをテレワーク(特に在宅勤務)を含むモデルへと拡張し,その均衡状態と社会的最適状態を理論的・数値的に分析する.そして,(i) テレワークの普及は始業時刻の集積を引き起こす(時差出勤と整合しない)こと,(ii) テレワーク導入により各企業・個人の生産性が向上する状況では社会全体の厚生が導入前より低下しうること,を明らかにする.