2023 年 78 巻 5 号 p. I_919-I_937
本研究では,ポストコロナにおける都市圏の通勤鉄道需要の構造変化とラッシュアワーにおける時間帯別課金導入の影響分析を念頭に置いたマルチクラス乗客配分モデルを構築した.具体的には,2 種類の通勤スタイルが異なる通勤者を想定し,その出発時刻選択に関する均衡配分モデルと最適課金導出のためのシステム最適配分モデルを構築した.ポストコロナを想定した 3 種類の需要構造変化シナリオ((1) 在宅勤務の増加,(2) フレックス勤務体制通勤者の増加,(3) 混雑に対する抵抗感の増加)のもとでシミュレーションを行い,コロナ前の状況に比べて混雑率や課金がどのように変化し得るのかを明らかにした.最後に,構築したモデルを実路線に適用し,今後起こり得る通勤者の出発時刻選択行動変化の可能性を示した.