2022 年 78 巻 6 号 p. II_182-II_189
地域コミュニティの希薄化や担い手不足などにより地域景観の維持管理が危惧されている.本研究の目的は,熊本県西原村において道路景観の保全システムと運用のローカルルールを,地域コミュニティによる保全活動の実態とともに明らかにすることである.具体的には,地域の道路景観を相互評価する地域活動「道路品評会」について各集落にヒアリング調査を行い,道路清掃及び集落運営についてローカルルールを抽出・分析を行った.研究の結果,西原村では道路品評会の為の道路清掃が集落運営の基盤になっているほか,2種類のソーシャルキャピタルの基盤として機能することで,地域住民のシビックプライドの醸成に寄与し,協働意識の形成や集落コミュニティの強化に繋がっていたことが分かった.