土木学会論文集D3(土木計画学)
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和文論文
宿泊施設の経営資本の違いが地域経済に及ぼす影響の実証分析 ~熊本市のホテルを対象に~
山本 康太田中 皓介寺部 慎太郎柳沼 秀樹
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2022 年 78 巻 6 号 p. II_212-II_228

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抄録

 近年の日本では,観光需要の拡大から,チェーンホテルの全国各地への新規進出が相次いでいる.こうした動きは,地域内の雇用機会,税収,宿泊客の増加が期待される一方で地元店舗の需要を奪う側面もある.その影響は単に供給者が変わるだけにとどまらず,宿泊支出の帰着先が変わることにより地域経済への波及効果が低減する可能性が想定される.そこで本研究では,宿泊施設の経営形態の違いが地域経済へ及ぼす影響を明らかにするために,熊本市内の宿泊施設4店舗を対象に,各種支出の帰着先を算出するとともに,経済波及効果分析を実施した.その結果,1億円の売り上げを仮定した場合,全国チェーンホテルは地場ホテルに比べて,市内への直接経済効果は2220~2830万円程度,市内への経済波及効果は660~940万円程度,それぞれ小さいことが示された.

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