2022 年 78 巻 6 号 p. II_241-II_251
COVID-19の感染拡大による外出自粛に伴い,移動需要が急激に低下している.我が国の公共交通業界は収入が大きく落ち込み,公共交通サービスの提供の継続が困難な状況に直面している.公共交通の受けた影響の規模を把握するために,経営状況への影響度を多面的に把握する必要がある.本研究では,全国の上場交通事業者が開示する決算資料を集計し,営業収益や営業利益・損失の推移,雇用調整助成金の受取状況を分析した.その結果,交通事業者の危機的状況は加速しており,赤字・減収に対する支援も不十分であることが示された.