2022 年 78 巻 6 号 p. II_252-II_261
日本では少子高齢化の進展により,高齢ドライバーによる重大事故が社会問題になっている.今後も高齢化が進行していく日本において,高齢者が安心して生活できる社会を確立するためには,どのような高齢ドライバーが事故やヒヤリを体験するのかを把握し,対応策を検討・実施する必要がある.以上より,高齢ドライバーの事故ヒヤリ体験に影響する要因を「認知機能」「運転への自信」「運転態度」「運転頻度」に注目して明らかにすることを研究目的とする.具体的には千葉県内で2018年9月~2019年9月に高齢者講習を受講した方の運転頻度等問診票を用いて分析を行った.その結果,高齢ドライバーの認知機能は運転への自信(自信あり)に影響し,運転への自信や運転態度(好き)は,運転頻度を増やし,運転頻度は事故ヒヤリ体験に影響することが示された.