2022 年 78 巻 6 号 p. II_355-II_363
地籍は土地管理の基礎として重要な役割を担っているが,1952年より行われている地籍整備の現在の進捗率は52%である.整備遅延の要因は一概には言えないものの,そもそも日本における地籍研究は乏しく,特に約70年という長期間にわたる地籍整備の推移を考慮した分析は行われていない.本論文では,地籍整備の推進を企図し,地籍整備の変遷と現状を整理するとともに,地籍調査事業開始以来70年間の進捗率の大まかな推移,地帯別面積割合および地帯別進捗率,着手率の伸びから,各都道府県がどの様な特徴を持ち合わせたうえで現状に至ったのかを把握するため,階層的クラスター分析のグループ分けによる考察を行う.その結果,都道府県の進捗率には地帯特徴に応じた国の政策方針が影響している可能性が示唆された.さらに,分析結果と考察を踏まえ,地帯特徴を考慮した地籍整備推進策について述べる.