2022 年 78 巻 6 号 p. II_491-II_508
環境先進都市・まちづくり先進都市と呼ばれる都市・地域が存在し,それらの中には多主体の共創的プロセスにより地域の課題が克服され,新たな価値が創出されている事例も見られる.しかしながら,情報を包括的に整理・共有する枠組みが未整備であるため,得られた知見はそれぞれの現場で共有されるに留まっている.本研究では,環境・まちづくり先進都市である岩手県紫波町,宮城県女川町,宮崎県日南市の資料文献調査及び政策担当者へのインタビュー調査に基づき,その地域づくりの過程において特徴的に現れる要素を抽出し,パターン・ランゲージの枠組みに基づいてパターンとして記述した.さらに,抽出されたパターンから先進事例に共通するプロセスの構造と地域ごとの特殊性について検討し,先進地域から他地域へと持続可能な地域づくりの技術・知識・経験を展開するための枠組みを提案した.